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【大学選手権、白熱!】
13日は秩父宮ラグビー場で大学選手権第2ステージを取材しました。
 
第1試合は筑波大vs大東大。
注目は、対抗戦で絶対王者・帝京大を破った筑波大の戦いぶりでしたが……
この日、ノリノリだったのは大東大です。
SH小山大輝選手のトライで先手を取ると、No8アマト・ファカタヴァ選手の2トライなどで着々と加点し、筑波大を圧倒。31−22で勝ちました。

 
試合後の会見で、本間優主将に「帝京大を破った筑波大に勝ちました。正直な感想を」と聞くと、「メッチャうれしいです!」と破顔一笑。「自信になりました!」
 

大東大の青柳勝彦監督は「前に出るタックルがよかった」と選手たちを賞賛。ひたむきに低いタックルを繰り返すハードタックラーだった青柳監督の生き写しのような選手がたくさんいました。
実は青柳監督が4年生だったとき、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ大学選手権の初戦で敗れた相手が筑波大でした。
「あのときは、僕もラトゥー(シオネ)もケガで出られなかったんです.副将の仲野も出られなくて。オトだけは出ていたかな」
何か、いろんな思いが詰まっているなあ、と感じてしまいました。
 
そして第2試合は関西覇者の同志社大が、36−8の大差で対抗戦5位の慶大を破りました。
大学選手権で、関西勢が関東で行われる試合に勝利したのは2011年度の準決勝で天理大が関東学院大を破って以来4年ぶりですが、秩父宮での勝利は1980年度の準決勝以来35季ぶり。


慶大の金沢HCは「今日は同志社のパフォーマンスが素晴らしかった。僕等も分析したけれど、同志社は、関西リーグ最終戦の天理大戦から違うチームになっていたんです」と話しました。
そのことを同大の山神監督に聞くと、返ってきた答えは
「大事な試合の前には、心を整えることが必要だと思ったので……」
東日本大震災が起きて11日後の3月22日、津波で壊滅的な被害を受けた気仙沼市階上中学校で行われた卒業式で、「天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていくことが、これからの私たちの使命です」と読んだ卒業生代表・梶原裕太くんの答辞に、世界中から感動の声が寄せられました。2011年度の文部科学白書に全文掲載されたこの答辞を、山神監督は、試合のメンバーもノンメンバーも含めた全員に、プリントして配り、読ませたのだそうです。
「当時の中学3年生は今の大学2年生。同世代なんです。正直、被災地のみなさんがどんな状態だったのか、僕等に分かることはできないかもしれないけれど、同世代の、ラグビーをしていた仲間が、15歳の時にどんな思いをしたのか、それを想像することは、今自分たちがラグビーをしていられる環境を見つめ直すことにつながると思ったんです。天理大戦では、確かに選手たちのプレーが変わりました」(山神監督)
山神監督は、拙著『釜石の夢』(講談社文庫)を読んで、梶原くんの答辞のことを知り、youtubeなどに投稿されている当時の映像を見て、選手たちに読ませることを考えたのだそうです。


「戦うための心を整えることができました。ありがとうございます」
と言っていただきました。
こちらこそありがとうございます。震災から4年9ヵ月。震災のときに、被災地で発信されたアクションが、こんなふうに役立てていただけるとは、気仙沼のみなさんもきっと喜んでくれることでしょう!
 
大学選手権、各組の結果は以下の通りです。
【A組】
帝京大(9) 66−7 (0)法政大
中央大(7) 24−12 (0)関西大
【B組】
東海大(9) 66−7 (0)朝日大
天理大(7) 14−10 (1)早大
【C組】
同志社大(9) 36−8 (0)慶大
大東大(6) 31−22 (1)筑波大
【D組】
明治大(8) 53−14 (0)京産大
流経大(8) 38−30 (1)立命館大
※カッコ内数字は総勝点=アドバンテージポイントを含む。
 
決勝トーナメント(ファイナルステージ)に進めるのは各組1位のみ。今日勝ったチームは大きく前進。負けたチームは、残り2戦でともに4トライをあげて勝てば最大勝点12を加えることができますが、きょう勝った2チームが直接対決で引き分けるなど、突破には厳しい条件がつくことになります。筑波大、早大、慶大という対抗戦の伝統校3校は、次週からどんな戦いを見せるでしょう?
 
【リーグ戦入替戦、そしてトップチャレンジ2…】
きょうは他にも試合が盛り沢山でした。
関東大学リーグ戦の入替戦は熊谷で行われ、2部2位の関東学院大が1部7位の専修大を22−7で撃破。
2部1位の日大も、1部8位の山梨学院大を28−17で下し、2校揃っての1部昇格を決めました。
個人的には専修大の村田亙監督、山梨学院大の吉田浩二監督とも親しく、彼らの真摯な努力もよく知っているので、残念です。その一方で、関東学院大や日大のスタッフ、選手たちの努力も、これまで辛い思いをしてきたこともよく知っています。
昇格を決めた日大、関東学院大のみなさん、おめでとうございます。
降格となった専大、山梨学院大のみなさん、この経験を、来季に活かして、もっと強くなって戻ってきてください!
 
そして、福岡・レベスタで行われたトップチャレンジ2の九州電力vs釜石シーウェイブス。
九州電力が38−12で勝ちました。
釜石SWから見れば、昨年はトップチャレンジ1で戦い17−26で負けた相手。詳しい内容は分かりませんが、点差は広がってしまいましたね。
釜石SWにとって、トップチャレンジ1そして入替戦進出への可能性は厳しくなりましたが、来週は中部電力との試合が待っています。どんな戦いを見せてくれるでしょう?
 
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  • プロフィール

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    大友信彦
    (おおとものぶひこ)

    1962年
    宮城県気仙沼市生まれ


    早稲田大学第二文学部卒業。
    1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』で活動。
    '87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

    ラグビー専門ウェブマガジンRugbyJapan365スーパーバイザー。

    『再起へのタックル』(洋泉社)
    『ザ・ワールドラグビー』(新潮社)
    『奇跡のラグビーマン 村田亙』(双葉社)
    『釜石ラグビーの挑戦』(水曜社)

    など著書多数。

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