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【クライストチャーチ】

クルセーダーズvsサンウルブズの戦いから一夜明け、15日はクライストチャーチを動き回りました。

まず向かったのは、クライストチャーチの東側、リトルトンという町です。

ここは港町。

以前、アンガスが初めて釜石に来たときに「カマイシはクライストチャーチのリトルトンっていう港町と景色が似ているんだ」と言っていました。

この感じ。

 

実はここは、2011年のクライストチャーチ大地震の震源地なのです。

震源がもう少し東にずれていたら、津波が襲ったかもしれない。

 

港町なので、世界から船乗りがやってきます。まあ、こんな店も。

サタデーマーケットが賑わっています。観光客よりも、地元クライストチャーチの人が安く良いものを買いに来るところだそうです。

 

入江の奥に、子供が遊べるビーチがありました。ちょっとした遊具と、ピクニックテーブルと、シャワーとトイレ。シンプルだけど、子供と遊ぶには十分な設備です。小野選手も子供のころ、ここで遊んだのでしょうね。

そこから山越えのドライブルートへ。

イースターホリデーの4連休、前日が昼まで大雨だったせいか、サイクリストが大勢走っていました。

カンタベリー平原が見渡せるビューポイント。

そして市内へ。

ここまでクライストチャーチを案内してくださったのは小野英志朗さん。小野晃征選手のお父さんです。

名古屋出身で、新婚旅行で訪れたNZが気に入り、27年前にクライストチャーチに移住。整体師としてたくさんのスポーツ選手、いろいろな業界のVIPの身体も整える凄腕です。小野晃征選手が在籍していた当時のクライストチャーチ・ボーイズハイスクールやニューブライトンクラブでもトレーナーを担当。NZは芝が深く柔らかいので、事前にグラウンド状態をリサーチ。メイン側とバック側で芝の重さに差があれば、右と左のスパイク、足首のテーピングを巻く強さを変えて捻挫を防ぐ、そのためにハーフタイムにも巻き替える。筋肉や腱、関節 の状態をチェックして、たとえば

「この状態なら後半10分まで」と判定し、コーチに交代のタイミングを進言。こうして、シーズンを通じてケガ人が出ないようにする手腕で、コーチからも選手からも絶大な信頼を得ていたそうです。

僕は、2007年に晃征選手がJKことカーワンHCに発見され、メディカル&フィットネスチェックのため19歳で初めて来日したとき、付き添いで来ていた小野さんにあいさつして話をうかがいました。

その後、2012年にスクラム釜石&RUGBYJAPAN365が初めて「東北&クライストチャーチ復興祈念チャリティイベント」を開き、収益から東日本大震災とクライストチャーチ大地震の被災地のラグビーチームにボールとメッセージフォトを贈呈した際、NZでプレゼンターを務めてくださったのが、2011年のクライストチャーチ取材時に案内してくださった武井さんと、この小野さんだったのです。

そのときの御礼をと思ってご連絡したところ、御礼どころか、到着からずっと、すっかりお世話になってしまいました。

30年近くクライストチャーチに暮らし、この地を見つめてきた方ならではの知識、見識に、本当に多くのことを教えていただきました。

小野さん、何から何まで本当にありがとうございました!

 

小野さんは、クライストチャーチで空手のコーチ、国際審判員もされていて、この日からクライストチャーチで開催される国際大会の審判団の指導もするため、ここでお別れ。そのあと、晝間(ひるま)尚子さん裕二さんの夫婦と合流してランチ。

アートセンターの建物にできた新しいカフェでランチ。いかにもNZっぽい、質素で、でもボリュームがあって、おいしい!

 

尚子さんはクライストチャーチのラジオ局で働くDJで、2011年のクライストチャーチ取材のときにいろいろ震災当時の話を聞かせていただきました。その後、ご主人の裕二さんとともに、日本からの留学生受けいれ・アテンドのビジネスを始めています。来週に引っ越しを控えている忙しい中で時間を割いていただき、ランチをご一緒。

「いままでは便利なところ優先で住むところを決めたけれど、子育ての環境、教育の環境がいいところに引っ越すことにしました」

ベイビーは去年生まれたばかりでただいま9ヵ月。異国で、親戚もいない中の子育ては大変でしょうが、「こちらの子育て仲間と情報交換しながら何とかやっています」とのこと。幸せな気持ちになりました。

 

それからおふたりと別れて、クライストチャーチの市内を歩きました。

街中に自転車たてはいっぱいあり、さらに空気入れ&各種工具が常備されたメンテナンススタンドもあちらこちらに。クライストチャーチは自転車に優しい町です。

 

こちらはリ・スタート モール。震災のあと、クライストチャーチの中心部で初めて作られた、コンテナを使った仮設商店街です。

コンテナと言っても色や模様に工夫があって、ポップな雰囲気です。いまは町もだいぶ活気が戻ってきたけれど、震災後、初めて作られたころは、このポップな雰囲気がどれだけクライストチャーチの人たちの心を明るくしてくれたか、想像すると嬉しいような、切ないような…というのも、もうすぐこのコンテナ商店街は撤去されることになっていると聞いたのです。気仙沼でも、震災のあと人々の心に灯をともしてきた復興屋台村が3月で閉村しました。なんか、ダブってきてしまいました。

こちらは「カードボード・カテドラル」紙で作られた大聖堂です。塔が崩れ、立ち入り禁止となったクライストチャーチ大聖堂にかわって、礼拝堂として作られました。

そしてこちらが「185chairs」

震災で亡くなられた185人分の、白く塗られた椅子が並んでいます。

案内板の裏側には、亡くなった185人の方々の名前と年齢、出身地が。

日本の19歳、20歳といった若い方の名前がたくさん並んでいます。中国からの留学生もたくさんいた。中には4歳の子供の名前も。目が熱くなります。

 

そこから、旧amiスタジアムのスタンドが見えたので、そのまま歩いて行ってみました。思ったより距離があったけど、青空をバックに、聳え立つスタンドを、もう一度目に焼き付けました。次にクライストチャーチにくるときは、どうなっているのかなあ。

スタジアムの前は中古車展示場になっていました。

 

いまだ通行止めの道も、地震以来そのままという建物もありました。

 

それから町に戻り、今夜の宿へ。2011年のときに話を聞かせていただいた松崎さんのペンション「MINNA HOUSE」に泊めていただきました。

松崎さんは現在、クライストチャーチ日本人会の会長をされていて、前日のサンウルブズの試合にも応援に駆けつけてくださいました。

とても博学な方で、前回の取材時には本当にたくさんのことを教えていただき、その後の取材にもたくさん役立てることができました。

ジャグジーつきのお風呂で、取材疲れ、というより歩き疲れた身体をリフレッシュ。

その後は松崎さん手作りの美味しい夕食をいただきました。

おつまみも最高! メインディッシュは…撮り忘れました(>_<)

 

クライストチャーチ滞在4日間。

サンウルブズの戦い、クルセーダーズの戦いはもちろんですが、震災から6年経ったクライストチャーチの姿、前回の取材から5年半が経ったクライストチャーチの姿を見ることができて、幸せというか、良い時間でした。

クライストチャーチの人たちも頑張っている。

置かれている現実には、東北と似ていることも違うところもあるし、まだ解決していないこともたくさんあるけれど、それぞれの現実の中で、懸命に生きている。

知ることが具体的な復興の力にどうつながるというわけではないけれど、それを知ることで、こっちも頑張ろう、という気持ちが湧いてくる気がする。

東北&クライストチャーチ復興祈念チャリティーイベントは、来年以降も続けていきたいな。改めて、そのモチベーションになりました。

 

クライストチャーチの4日間、とても貴重な経験でした。

小野さん、武井さん、晝間さん、松崎さん、本当にありがとうございました。

 

クライストチャーチには、きっとまた来ます。

来年からのフォーマットだと、次にサンウルブズが来るのは2-3年後かな。それとは別に、もしかしたら、オールブラックスと日本が、ワールドカップ以外でも対戦するなんて機会があるかも。

ラグビーと関係ない旅行で来るのもいいな。NZで行ってみたい町や場所は他にもいっぱいあるし。自転車で走りたいし!

僕もそれなりに世界のあちこちを訪ねてきたけれど、これだけ居心地の良い町はなかなかありませんからね……。

 

その日には、クライストチャーチはどんな復興を遂げているでしょうか。

僕からも「東北もこんなふうに復興したんですよ」と話せることがいっぱいあるといいな。

その日が楽しみです。

 

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  • プロフィール

    20110608-otomo.jpg

    大友信彦
    (おおとものぶひこ)

    1962年
    宮城県気仙沼市生まれ


    早稲田大学第二文学部卒業。
    1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』で活動。
    '87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

    ラグビー専門ウェブマガジンRugbyJapan365スーパーバイザー。

    『再起へのタックル』(洋泉社)
    『ザ・ワールドラグビー』(新潮社)
    『奇跡のラグビーマン 村田亙』(双葉社)
    『釜石ラグビーの挑戦』(水曜社)

    など著書多数。

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