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【熊谷のおもてなしシート訪問】

さてさて、今週も盛り沢山の週末でした。

22日(金)は秩父宮で東芝vs神戸製鋼のナイトゲーム、大雨の中の試合でした。

あけて23日(土)は熊谷でサントリーvsクボタ、パナソニックvsトヨタ自動車のダブルヘッダー、

そして24日(日)はキヤノンGで慶大vs筑波大

 

試合はそれぞれ面白かったのですが、やっぱり圧巻はパナソニックでした。

山田章仁選手の3トライはどれも「うお!」と声を出してしまいそうな(実際、写真を撮りながら出してしまいました(^_^;) 凄いトライ。質の高いトライ。

トライへの嗅覚もすごいですが、地面に落ちそうだったり、不規則に弾んだりするボールに臆せず飛び込みながら、しっかりと掴んでグラウンディングするところ、ちょっと溜息というか、いやそれじゃすまないな、大声が出てしまうようなトライが続いています。

山田選手、開幕5戦中4試合に出場して7トライ。現時点でトライ王争いのトップです。このペースで残り8試合に全部出て同じペースでトライを取り続けると14トライ。2012年度に自身が作ったシーズン20トライのTL記録も塗り替えるかも?

 

ちなみにトライ王争いの2位は同じパナのWTB福岡堅樹選手&ヤマハの堀江恭佑選手の5トライ、4位にはサントリー松島幸太朗選手、ヤマハのファンデンヒーファー選手、NECの後藤輝也選手、パナソニックの森谷圭介選手、神戸製鋼のアンドリュー・エリス選手。NTTドコモのパエアミフィポセチ選手が4トライで並んでいます!

 

熊谷での試合前、熊谷陸上競技場のトップリーグ試合に設定されている「おもてなしシート」を訪問しました。

画像に含まれている可能性があるもの:スタジアム、屋外

これは、8月のパナソニックvsハイランダーズ戦のときに設定されて、好評だったものをシーズンに入っても継続しているもの。

パナソニックワイルドナイツグッズがお土産でついて、メイン中央屋根つきエレベーターつき食べ放題飲み放題、席までビールを届けてくれる至れり尽くせりのおもてなしサービスつきのVIP シートが10000円。スタジアムすぐ横の駐車場も使えるというのも嬉しいところです。

自動代替テキストはありません。

「駐車場つきで、飲み放題、悩ましいところですね」と聞くと、「いやあ、このくらい出す人は運転手つけてる人もいるでしょ」と埼玉県協会の関係者。

実際、ハイランダーズ戦では20000円に設定したのですが、限定122席が一瞬で売り切れたそうです。

 

これがお得かどうかについては、いろいろな感じ方があると思います。

熊谷ラグビー場はワールドカップに向けて改装中で、いまは陸上競技場に間借りしている状態です。でも、ワールドカップまでは2シーズンしかない。トライ&エラーのチャンスはきわめて限られている。その中で、日本協会から興行権委託を受けて、自分たちでいろいろと考えて新しいことを試みようという埼玉県協会&パナソニックの姿勢を、僕はポジティブに捉えたいと思います。

日本協会との調整の遅れだったり、やりとりに行き違いのようなことがあったりで、まだ試行錯誤している段階ですが、「ラグビーを観戦する」という商品に価値をつけていこうという姿勢は感じました。

優雅に食事&飲み物を楽しみながら試合を楽しむVIPルームは、海外ではよくあります。

そこに10000円払う価値を感じるかどうかはその人次第でしょうが、そのくらい払っても良いと思う方、フトコロに余裕のある方には、その人向けの楽しみ方を提供することもあっていい。

 

ただ、書き添えたいのは、熊谷の興行(あえてこの言葉を使いますが)では、ホストチームであるパナソニック・ワイルドナイツが現在の国内チームで最高峰といっていい質の高いプレーを毎試合、コンスタントに見せていることです。

山田選手の地面のボールへの飛び込み、福岡選手のハイボールへのチャレンジ&逆サイドへのアグレッシブなチャレンジ……規律の高さと大胆なチャレンジが共存している、エンターテインメントとして上質の時間を提供していると思います。

それだけのものを見せるプロのスポーツ興行として、払う気のある人からは多くをいただいても良いのではないかという考え方は、あってもいいと思います(本質的には、それがないとスポーツクラブは経営が成り立ちません)。

日本のラグビーは長い間、アマチュア、大学&企業スポーツとして、利益は度外視する構造で行われてきたし、その夜サモ間違いなくあったけれど、それだけではすまない時代になりつつある。そのときに、観客へも従来とは異なる参加の仕方を提案する埼玉県&パナソニックの試みを、僕は応援していきたいなと思います。

 

残念ながら、まだ告知がほとんどされていないため、23日はガラガラでした。実際、僕もこの試合に、ハイランダーズ戦と同じようにおもてなしシートがあること(及び8月26日にもあったこと)は知りませんでした。

だけど、逆に言えば「穴場」です。

「AKB劇場初日の客は9人だった」でしたっけ? 

全部を手放しで誉めるつもりはありませんが、すべてこれからだと思います。

 

熊谷陸上競技場はピッチが遠すぎるという不評も聞きます(その気持ちはとてもよく分かります)。ただ、再来年には、新しい熊谷ラグビー場の新メインスタンドができあがります。

そのとき、その資産を有効に活用するためのチャレンジを、いまリスク覚悟でしているのだと思います。

この姿勢、実は大事なことなんじゃないかな。全部そろわないとできない、という先送り体質だと、いつまでも何もできない(スーパーラグビーの日程が、不完全なままで発表されたことも、えらい! と思いました)。

 

まだ完全ではないことは間違いありません。それどころか、完成度は、見方によっては半々程度かも。でも発信することは、ポジティブ! と捉えていきたいです。

がんばろうサイタマ!クマガヤ!

 

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  • プロフィール

    20110608-otomo.jpg

    大友信彦
    (おおとものぶひこ)

    1962年
    宮城県気仙沼市生まれ


    早稲田大学第二文学部卒業。
    1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』で活動。
    '87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

    ラグビー専門ウェブマガジンRugbyJapan365スーパーバイザー。

    『再起へのタックル』(洋泉社)
    『ザ・ワールドラグビー』(新潮社)
    『奇跡のラグビーマン 村田亙』(双葉社)
    『釜石ラグビーの挑戦』(水曜社)

    など著書多数。

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