ツールドラグビートップへ

【長い1日…】
長い1日でした。朝9時に家を出て、辰巳グラウンドで10時から行われたトップリーグ合同選考会を取材、炎天下で午前の測定、午後の紅白戦30分×4本を撮影取材。そのあと成田空港へ移動して……うちへ戻ったのは夜11時近くでした。

長かったけど、幸せな取材、幸せな1日でした。

 

【トップリーグ 合同選考会】

辰巳グラウンドで行われたトップリーグ合同選考会には、全国、もとい国内外から85人の選手が参加。明日のトップリーガーを目指す選手たちが、炎天下で、午前中はスプリントや立ち幅跳び、ビープテストなどの測定。午後は4チームに分かれて30分×4本の紅白戦で件名に自分をアピールしました。

 

午前中の測定で、マルチステージ・フィットネステストで最高の14-8を出したのは立大No8守本公保選手、次ぐ14-5は関西学院大のFL中江翔平選手。この2人の競り合いは見応えありました。トップリーグでプレーしたい、という気持ちが伝わってきました。

 

40m走508、立ち幅跳び3mと、ともにトップの数字をたたき出したのは、関西Bリーグ大阪教育大のWTB藤森大貴選手。そして、40m509、立ち幅跳び2m802位となったのは、同じ大教大のWTB田川穂高選手。

藤森選手は高校(大教大附属池田高)までは野球部。田川選手のラグビー歴は京都・洛北高から。大教大には「監督がいないので、学生でメニューを組んで練習しています」。2人とも、まもなく教員採用試験を控える身ながら「もしもチャンスがあるなら」とチャレンジしたそうです。

下部リーグにも、埋もれた才能はたくさんいるんだなあ、と改めて感じました。

 

国立大から参加した選手はもう一人。石岡剛宗選手は東北大学。興味を持って聞いてみると、大学院で水産関係を専攻しているとのこと。専門は?と尋ねると

「ウニを研究しています。震災の後、女川や気仙沼へ行って、ウニの調査や実習をしました」

とのこと。こんなところで気仙沼の名を聞けるとは! 嬉しくなりました。

石岡選手は青森県市浦(しうら)村(現・五所川原市)生まれで弘前高出身。ラグビーは高校から始めたそうです。


(タックルしているのが石岡選手です!)

「一応、内定をいただいている会社もあるんですが、この選考会の話を知って、もしも上のレベルでやれる可能性が少しでもあるのならチャレンジしてみたいと思って応募しました。もし自分が合格できなくても、こういうチャレンジができるということを発信できたら、これからラグビーを活性化できると思いましたし」

 

受験したのは無名選手だけではありません。

法大から参加したSO加藤俊介選手は、東福岡高1年で全国制覇メンバーとなったエリート。高3では「高校ラグビー史上最強」と呼ばれた東福岡のBKリーダーでした。法大に進んでも1年生のリーグ戦開幕戦に先発しましたが、その試合でケガ。以後もケガが続いたこともあり、トップリーグのスカウトからはなかなか誘ってもらえず、この機会に応募したそうです。


(加藤選手、さすがのゲームメークでした!)

「僕みたいな身体が小さい(身長170cm)選手は、トップリーグにはなかなか誘ってもらえないけど、こういう機会があるのなら、通用するかどうか試したいと思いました」

紅白戦では、さすがのゲームメーク、アタックセンスを披露。左隅から難しいコンバージョンキックを成功させるなど、実戦的な能力をアピールしていました。こういう選手がいるのも面白さですね。

 

もうひとり、印象に残ったのが、オーストラリア・メルボルンのビクトリア大学に通うSH山田啓介選手。小学3年の時に「シンガポール・ジャパニーズ」でラグビーを始め、レベルズのアカデミーでプレーした経験もあるそうで、なるほど日本のSHとはちょっと違うリズム、仕掛けのセンスを見せていました。


(山田選手は、このトライアルのことをメルボルンで堀江選手から聞いたそうです。何だかよく分からないけどボーダーレス!)

こういう、違うバックグラウンド、ストーリーを持った選手が入ってくると、トップリーグも面白くなるだろうな、と思いました。

 

今回、受講(受験?)した選手たちは、皆、参加費(2500円)を払って参加したそうです。

自分の将来を切り開くためとはいえ、自らお金を負担し、全国、あるいは南半球からも自費でかけつけ、炎天下の中で身体を張った選手のみなさん、本当にお疲れ様でした!

ひとりでも多くの選手と、トップリーグの舞台で再会できることを祈っております!

 

【藤田選手がNZへ出発!】

辰巳でトップリーグ選考会を取材後、成田空港へ。

NZへ留学する藤田慶和選手の出発を見送りしてきました。



藤田選手は、去年もカンタベリーのU20でプレーすることが決まっていましたが、膝のケガで消滅。しかし、10カ月のリハビリを経て、ジュニアジャパンでオーストラリア&NZへ遠征、さらにジャパンでも活躍したことで、再びカンタベリーから呼ばれたそうです。

藤田選手の出発についてはあす(11日づけ)東京中日スポーツに記事を出しました!

活躍のステージはU20か?それともITMのカンタベリー代表か?
期待
は高まるばかりですが、気になるのは国内シーズンとの兼ね合い。しかし、先日、早大の後藤禎和監督に聞いたところ

「去年の田中選手や堀江選手なんかと同じスケジュールになると思っています」と、NZでのチャレンジや日本代表での活動を全面的にバックアップしていく方針だそうです。

藤田選手自身も「NZでの経験を、ジャパンだけでなく早稲田にもプラスになるように持ち帰りたい」と話していました。
 

考えてみたら、19歳で、単身異国へ乗り込む。すごいことだなあ。

衣食住、すべてにおいて、タフな経験を重ねることと思いますが、ラグビーだけでなく、そういう経験が人間を鍛えるのだと思います。

(アルゼンチン代表の欧州でプレーする選手や、トンガやフィジーやサモアの代表で日本や欧州でプレーする選手が「強い」のも、日本のスーパーラグビー組、田中選手や堀江選手が「強い」のも、日本でプレーする外国人選手たちが「強い」のも、同じだと思います)


 

藤田選手は、どれだけタフになって帰ってくるでしょう?19歳のチャレンジを、思い切り応援していきたいと思います!

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  • プロフィール

    20110608-otomo.jpg

    大友信彦
    (おおとものぶひこ)

    1962年
    宮城県気仙沼市生まれ


    早稲田大学第二文学部卒業。
    1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』で活動。
    '87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

    ラグビー専門ウェブマガジンRugbyJapan365スーパーバイザー。

    『再起へのタックル』(洋泉社)
    『ザ・ワールドラグビー』(新潮社)
    『奇跡のラグビーマン 村田亙』(双葉社)
    『釜石ラグビーの挑戦』(水曜社)

    など著書多数。

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